「医薬品医療機器等法施行令」は、日本国内の医薬品・医療機器の製造・修理、販売・貸与、使用に関する規制を定めた政令であり、内閣によって医薬品医療機器等法における基準などの運用を規定するものです。
「医薬品医療機器等法施行規則」は、医薬品医療機器等法施行令をより詳細で具体的な内容を規制した省令であり、厚生労働大臣によって医薬品医療機器等法の実務における具体的な運用手順を規定するものです。

(法令の体系)

1.医薬品医療機器等法施行令の特徴


製造業者の登録: 医薬品・医療機器の製造業者は、厚生労働大臣に登録する必要があります。登録には、製造施設の基準を満たすことが求められます。
製造管理の義務: 製造業者は、製造管理のための管理者を置き、製造過程での品質管理を徹底する必要があります。
品質管理の基準: 医薬品や医療機器の品質管理に関する基準が定められており、製造業者はこれに従うことが求められます。
販売業者の登録: 医薬品や医療機器の販売業者も、厚生労働大臣に登録する必要があります。登録には、販売施設の基準を満たすことが求められます。
販売管理の義務: 販売業者は、販売管理のための管理者を置き、販売過程での品質管理を徹底する必要があります。
製造販売業者の義務: 製造業者と販売業者を管理し、製品の流通において最終的な責任を持つ業者です。
国民(使用者)の義務: 医薬品や医療機器の使用者も、適切な使用方法を守り、使用者の安全を確保する義務があります。

2.医薬品医療機器等法施行規則の特徴と役割


・特徴
実務的な規定: 医薬品医療機器等法施行規則は、医薬品医療機器等法や施行令で定められた抽象的な規制内容を、より具体的な事務手続きや技術的な基準に落とし込む役割を果たします。
詳細な規定: 申請書類の様式、検査方法、記録の保存期間など、医薬品医療機器等法に関する事務手続きの細則が規定されています。
柔軟性: 社会情勢の変化や科学技術の進歩に対応するため、医薬品医療機器等法施行規則は比較的頻繁に改正されます。

・役割
法令の円滑な運用: 医薬品医療機器等法施行規則は、医薬品医療機器等法の運用に必要な詳細なルールを定めることで、法令の円滑な運用を支援します。
国民の保護: 医薬品医療機器等法施行規則は、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性を確保するための具体的な基準を定めることで、国民の健康を守る役割を果たします。
事業者の遵法意識の向上: 医薬品医療機器等法施行規則は、事業者が医薬品医療機器等法を遵守するための指針となることで、事業者の遵法意識の向上に貢献します。

3.医薬品医療機器等法施行令と施行規則の違い
医薬品医療機器等法施行令と施行規則は、ともに医薬品医療機器等法の規制内容を具体的な基準・手順を明確にしたものではありますが、それぞれの役割と内容には明確な違いがあります。

抽象性と具体性: 医薬品医療機器等法施行令は医薬品医療機器等法よりも具体性は増しますが、医薬品医療機器等法施行規則はさらに詳細な規定を含んでいます。
作成主体: 施行令は政府(内閣)が作成するのに対し、施行規則は厚生労働大臣が作成します。
改正頻度: 施行規則は、施行令よりも頻繁に改正される傾向があります。

(施行令と施行規則の比較表)

【医薬品医療機器等法】「医療機器の取扱いルール」

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医療機器の流通は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称は「医薬品医療機器等法」と呼ばれます)によって規制されています。

法令の体系図

❶ 医薬品医療機器等法施行令(政令) 政令とは、内閣が閣議により決定する命令のことである。
❷ 医薬品医療機器等法施行規則(省令) 省令とは、各省の大臣が制定する命令のことである。
❸ 厚生労働省などからの告示 法律の規定に基づき公示を必要とする事項を広く一般に知らせる行為
❹ 厚生労働省などの各局長、課長名等で出される通知及び事務連絡 法令の解釈や運用等に関連して各機関に出されるもの

1.医療機器の分類


取り扱える医療機器は次の表の通り分類されています。 (注) 医療機器の分類の表現を、一般医療機器は「一般」、管理医療機器は「管理」、高度管理医療機器は「高度」と略すことがある。

表に書かれているように「コンタクトレンズ」は、国際分類が「クラスⅢ」、医薬品医療機器等法においては「高度管理医療機器」として規制を受けます。コンタクトレンズのように『機器』といわれるとイメージしづらいですが、広く実態のある『物』と考えるとよいでしょう。そして、例の中には「クラスⅡ」「管理医療機器」は電気を使うものが多く書かれています。 全ての医療機器は分類されていますが、電気を使うものや人体の重要な器官に装着する物は『規制を受ける』と考えてよいでしょう。

2.医療機器取り扱いの許認可


クラス分類によって許認可が変わります。

医療機器の販売業・貸与業に必要な許認可 ※ 特定保守管理医療機器を除く。

「一般医療機器」以外は行政に許認可が必要となります。取り扱う医療機器に合わせて申請してください。

3.営業所管理者


前項では医療機器を取り扱うための業許可を会社が申請しました。医療機器と取り扱うためには、もう一つの要件として、営業所を安全に運営するための責任者が必要で、それが「営業所管理者」です。

営業所管理者の要件は次の表の通りです。 (*1)特定保守管理医療機器を含み、指定視力補正用レンズ等を除き、プログラム高度管理医療機器を除く。
(*2)電子体温計、男性向け避妊用コンドーム、女性向け避妊用コンドームは当分の間、届出不要。
 (平成17年3月18日厚生労働省告示第82号)
(*3)原則、営業所ごと。
(*4)高度管理医療機器等の販売等に関する業務に1年以上若しくは補聴器、家庭用電気治療器の販売等に関する業務については3年以上の従事経験年数
(*5)高度管理医療機器等(指定視力補正用レンズ等及びプログラム高度管理医療機器を除く)の販売等の従事経験年数
(*6)高度管理医療機器等(指定視力補正用レンズ等を含み、プログラム高度管理医療機器を除く)の販売等の従事経験年数
(*7)高度管理医療機器等(プログラム高度管理医療機器を除く)の販売等に関する業務であれば1年で可。
(*8)高度管理医療機器等営業所管理者は、その営業所以外の場所で、業として営業所の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならないが、法第39条の2第2項の許可を受けたときはこの限りでない。

取り扱う医療機器によって業務要件が違うことや、教育の頻度が違っています。

これらが満たされている状態であれば、医療機器の販売・貸与を業として行うことができます。反対に、これらが満たされない状態では医療機器は取り扱えないので、届出・申請後に変更がある場合は直ちに対処する必要があります。それをしない場合は、違反となり罰則を受けてしまいます。

医療機器 立入検査のチェックポイント「品質管理」

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医療機器 講習係です。

記念すべき第1回目の投稿は、受講者様のアンケート内で情報提供のご希望が多い「立入検査」の「品質管理」についてです。

【品質管理】
 「医療機器の取扱い」 医療機器を取り扱う上で特に注意が必要な行為が「品質管理」です。

1.医療機器の特徴として、プログラムは除く医療機器は、製造または出荷された後は『劣化』する一方です。医療機器を運ぶとき、保管するとき、顧客に渡すとき、医療機器を取り扱うもの達の責任で、医療機器の性能を無くすことなく維持する必要があります。

2.医療機器の流通は、行政による「立入検査」における重要なチェックポイントでもあります。それは、医療機器の安全性を保つための重要な業務であり、サプライチェーン全体における責任でもあります。

3.事業者の役目と立入検査では、どのような事をすればよいのでしょうか。 医薬品医療機器等法で次のように要求されています。
 1.採光や照明や換気が適切であり、かつ、清潔であること
 2.常時居住する場所や不潔な場所から明確に区別されていること
 3.取扱い品目を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること
以上、3つの要求がありますが、全ての目的は医療機器を衛生的に管理することによって、汚染から守ることを主体としています。

【お知らせ】
 令和6年度より医療機器 販売貸与営業所管理者並びに修理責任技術者 継続的研修の受講料を5,500円→4,400円へ改定いたしました。